北京パラリンピックは第6日の今月11日、国家水泳センターなどで行われ、競泳男子五十メートル平泳ぎ(運動機能障害)で21歳の鈴木孝幸(静岡)が49秒06で優勝した。今大会の日本勢の金メダルは、自転車男子千メートルタイムトライアル(脳性まひ)の石井雅史(神奈川)に続き2個目。鈴木は同日午前の予選で48秒49の世界新記録をマークした。女子二百メートル個人メドレー(運動機能障害)では北京五輪オープンウオーター種目に出場したナタリー・デュトワ(南アフリカ)が2分27秒83で優勝。百メートルバタフライに続く世界新で、百メートル自由形を含め今大会3個目の金メダルをつかんだ。
◇鈴木、日本競泳勢初の金…障害乗り越え世界ランク1位の実力見せつける
電光掲示板で自らの優勝を確認すると左腕を突き上げた。生まれつき両脚のほとんどと右手がない「先天性四肢欠損」という障害を抱える21歳の鈴木。午前中の予選で出した48秒49の世界記録更新こそならなかったが、この種目での世界ランキング1位の実力を発揮して今大会の日本競泳勢初の金メダルを獲得した。
予選に続き、飛び込んで浮き上がると既にトップだった。左腕と二の腕まで残る右腕、そして下半身の強さで泳ぎを加速させた。「(04年)アテネ後の4年間、体もできて来て泳ぎ込めるようになり、(ペースが)落ちなくなった」と分析する後半の泳ぎでも、2位のスペイン選手の追い上げを振り切った。
指導する日本チームの峰村史世コーチは「持っている能力のすべてを生かすよう指導している」と説明する。右脚に比べ、太ももの一部が残る左脚の踏ん張りが、スタート時のリードを生んだ。
早大教育学部の3年生で水泳部にも所属。競泳は周囲の勧めもあり、高校の時から本格的に取り組み、アテネ大会ではメドレーリレーで銀メダルを獲得した。「(競泳が)好きなだけで、自分の泳ぎで『何かを伝えたい』とは思っていない」と言い切り、今大会を一つの集大成と位置づけて北京に臨んだ。
だが、06年世界選手権では2位に終わったこの種目で、初めて国際大会での表彰台の中央に立った。「気持ち良いですね」。普段はクールな若者が、屈託のない笑顔を周囲に振りまいた。(「毎日jp」2008年9月12日付記事より転載)
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