若者だけが聞こえる「モスキート」音って?

 ◆若者だけが聞こえる「モスキート」音って?

 ◇金属音のような高周波音 撃退目的で発信器商品化

 Q 夜の公園で騒ぐ若者を、特殊な音を流して追い払えるらしいね。

 A 東京都足立区が今月公園に設置した「若者たむろ防止装置モスキート」のことですね。高周波音を発信するもので、発信される音は「モスキート音」と呼ばれています。

 Q どんな音なの?

 A モスキートは英語で「蚊」の意味。蚊の羽音って耳障りですよね。それと同じように不快な音を断続的に流すのです。区では若者による騒音や器物損壊の被害が激しい公園で、午後11時から午前4時の間、17・6キロヘルツの音を流します。

 Q どうしてその音で撃退できるの?

 A 若者だけに聞こえるからです。日本耳鼻咽喉(いんこう)科医会の石山英一副理事長に聞いたところ、一般的に人間の聴力は20代ごろがピークで、加齢とともに低下します。内耳の「かたつむり管(蝸牛(かぎゅう))」という器官には、外部からの音の刺激を感知する「有毛細胞」という感覚細胞があり、これが老化とともに縮んだりしていくと高周波音が聞こえにくくなるのです。モスキート音は若者には「キーン」といった金属音のように聞こえますが、年齢とともに聞こえなくなります。人体に害はないそうです。

 Q そもそもどんな目的で作られたの?

 A 日本での販売代理店「メルク」(東京都千代田区)によると、英国で05年、街にたむろする若者を追い払う目的で作られ、開発者はユーモアある研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」を受賞しました。欧米では約1万台が売れ、学校やショッピングセンター、集合住宅でも使われています。日本では携帯電話の「大人には聞こえない着信音」としても使われ、授業中ケータイが鳴っても先生に聞こえないので、若者に人気です。

 Q 日本でも増えるのかな。

 A 国内では昨年5月から約20万円で発売し、コンビニエンスストアや個人宅向けに約30台が売れ、自治体や警察の問い合わせもあるようです。自治体で初めて購入した足立区では来春まで1カ所で試行を続け、効果をみて他の公園にも広げる方針です。ただ、若者を無差別に排除してしまうため、英国では人権擁護団体が撤去を求めるなど、設置に慎重な声もあります。(毎日新聞2009年5月28日付朝刊「質問なるほドリ」より転載)